小学校3年生から小学校英語必修化になりましたね。
この記事は小学校英語必修化になった経緯と目的を文部科学省がまとめた「グローバル化に対応した英語教育改革の五つの提言」をもとに解説し、実際に教科書の内容を取り上げながら、良い部分と問題点について中学校の英語教諭として働いていた時の実体験を交えつつわかりやすく解説します。
小学校英語必修化の大きな問題点に対して、家庭できる対策について解説します。
英語は一度苦手意識ができてしまうと、その苦手意識の壁を超えるのが大変になってしまいますが、お家で少し対策をしてあげるだけで、お子さんが苦手意識をもつのを防ぐことができます。
こちらの記事は長くなりますが、お家でしっかり対策をして、お子さんが英語好きになれるように導いてあげましょう!
小学校の英語の授業も大幅に変わるね。
そうだよ~!でも、実際なにがどうなるんだろう?って思っている人、お家で何かできないかなって思っている人にいろいろお話しますね。
1. 小学校英語必修化の目的
そもそもなんで小学校で英語を必修化することにしたのかについて知りたいな。
文部科学省がまとめた「グローバル化に対応した英語教育改革の五つの提言」という資料を参考にしてお答えします。
この提言に書いてあることを簡単に言うと、「世界の共通語である英語はこれからもっと大事になる。だから、日本人の英語力をアジア圏内トップクラスまで引き上げよう!もちろん日本文化も大事だから、そこも勉強するよ!そして、小さい頃から英語に触れて英語でコミュニケーションすることに慣れて臆することがないようにしよう!」っていう事になります。
少し簡単にし過ぎた気もしますが・・・でも、大体そんな事が書いてあります。
この提言の中では今までの小学校の外国語学習の成果にも触れてあり、英語好きな子7割、中学生の8割が小学校の授業は役立ったと答え、中学校教員も「聞く」と「話す」技能が小学校英語学習導入前と比べて上がったと答えいると言います。
ということは、早めの英語学習って役立ってるんですね!
2. 小学校英語必修化!小学3年生から英語を学習する理由について
これも 「グローバル化に対応した英語教育改革の五つの提言」を参考にすると、中学年の方が高学年よりも音声や発音をより理解できるということが挙げられています。
また、中学生の中には小学校の時から「書く」練習をしたかったという意見や、小学校中学年での英語学習そ導入している小学校では高学年になると英語学習の意欲が低下する傾向があったため、「書く」と「読む」という技能を高学年で習うことにより、英語学習意欲を維持することができるという判断に至ったようです。
ちょっと難しいことも取り入れながら、子どもの学習意欲を保つのも大切ですよね。
3. 小学校英語必修化!一般的な親の意見(賛否両方とも)
小学校3年生から英語を導入することに関して、その年代の子供をもつ親たちからは様々な意見がでていますよね。
- 早くから英語を学習したら、もっと英語が好きになりそう。
- 外国の方と早くから交流があったら、もっと異文化理解ができそう。
- 早くから学習を始めたら、臆せずに英語を話せるようになるかもしれない。
- まだ日本語の文法力も語彙力も確立されていないのに英語も始めたら両方中途半端になるのではないのか?
- 小学校高学年から英語を書いたり、読んだりするのは難しいのではないか。
- 今まで英語を教える勉強をしていなかった小学校の先生に英語を教えることができるのだろうか。
- 結局中学校に入ったら文法などの学習が中心となり、コミュニケーション能力は育たなくなるのではないのか。
- これだけの学習量があって、どうやって学習時間を確保するのか疑問だ。
様々な意見がありますが、やはり反対や不安の声の方が多いように思われます。
確かに教科全体と比較してみても、英語の勉強量が各段と増えるので不安になる人が多いのにも納得ですけどね。
特にライティング技能が入ってくるところも不安要素の一つですよね。
アルファベットを全部書けるようになるのも一苦労だと思いますよ。
中学生でも、1年生の1学期の中間テストで全員が全部アルファベットを書けているわけではないので・・
4.小学校英語必修化!小学3,4年生で習う内容
それぞれどんな内容を習うかを簡単にまとめてみました。3、4年生で使う教科書は「Let’s try」というものです。
実際にどんな内容なのか、目次をたどりながら見てみたいと思います。
- あいさつ
- 数を数える
- 好きなものを伝える
- 好きなものを尋ねる
- アルファベット
- 「これはなに?」と尋ねる
- 「あなたは誰?」と尋ねる
- 様々な国の言葉で挨拶
- 好きな遊びを伝える
- 好きな曜日を伝える
- 時間
- 「Do you have~?」の文章
- アルファベット(小文字)
- 何が欲しい?
- お気に入りの場所の紹介
- 自分の1日を伝える
結構いろんなことやるんだね。
そうなのよ~!
教科書も見てみたけど、絵がいっぱいあってよかったよ~
内容的にはゲームやアクティビティが作りやすい単元が多くあり、楽しく授業ができるのではないかなって思います。
正直、中学校で英語を教えていた時にこの単元は楽しくコミュニケーション活動をたくさん取り入れながら授業ができるなと感じていた項目が並んでします。
しかも、会話だけなのでゲームもたくさんになり、子ども達は英語の時間が基本好きになるんじゃないかなっていう感じがします。
問題点としたら、30人に一気にこれをやるのは大変じゃないかなってこと。少人数の英会話教室なら、このペースでちょうどいいと思うけど、大人数になればなるほど授業中にまとめるのも大変ですし、取り残されていく子がでてくるかもしれないなって思います。
また、小さい頃から英会話教室に通っているお子さんにとっては、簡単な内容になると思うので、初めて英語に触れるお子さんとの差が歴然としてくるのではないかと思います。
その辺のバランスのとり方も大変ですよね。
5.小学校英語必修化!小学5,6年生で習う内容
次に小学校5、6年生で習う内容をまとめました。5、6年生で使う教科書は「We can」というものです。
こちらも目次をたどりながら、内容を見てみましょう!
- 自己紹介
- 誕生日を聞く
- 学校生活・教科・職業
- 1日の生活
- できること
- 行ってみたい国や地域
- 場所を聞く
- 値段を聞いたり、欲しい料理を聞く
- 憧れのひと
- 自己紹介
- 日本の文化について
- 人物紹介
- 自分たちの町や地域について
- 夏休みの思い出
- オリンピックやパラリンピックで見たいものは何?
- 小学校の思い出
- 将来の夢
- 中学校生活
こちらも楽しいゲームやアクティビティがたくさん考えれそうな内容ですね。クラスによってはかなりレベルの高いこともできるかもしれません。
また、自国の文化についても学ぶとあったのですが、その部分がここで学習できるようになっていますね。面白い授業の展開ができるのではないかと思います。(クラスのレベルによりますが・・・)
問題点はやっぱり英語を書くということ・・
あと単語数が半端なく多いです。600語~700語くらいあるようです。
今の中学校で1200語くらい覚えるので、この比較を聞けば、単語数が多いことが一目瞭然ですよね。本当に多いんです。
そして、書くという技能が入るという事はどの位の単語量を書けることを求めているのでしょうか?それによってその難易度は大きく変わります。
ただ言うだけなら、単語数が多くても何とかなりますが、書くとなると話は違いますよね。
何年も前になりますが、中学校で英語を教えていた時に1年生の1学期の中間テストで「これが100点が取れる可能性のあるテストだからみんな頑張れ!」とアルファベットと少しの単語を覚えさせていました。
実際1年1学期の中間テストの英語の平均点はとても高く、その後1学期の期末テストでガクンと下がっていました。
1学期の期末ではたくさん覚える単語があり、それを書きたかったけど書けなかったんだねって感じさせる、中途半端な英単語が並んだ答案用紙を思い出します。
この辺りから、英語を嫌いになる子も増えてきたように思います。
「できない」=「きらい」という法則は結構当てはまるので、徐々に増えちゃいますよね。
しかし、英単語を覚えるには何度も繰り返し書く反復練習がかなり必要となります。
でも、英語を書き始めたばかりなら、スペルのルールがまだまだ理解ができないので1つ1つの単語を書くのにもすごく時間がかかりますし、まだまだ慣れていないのでたくさん書かないと覚えられません。
単語を覚えて書くのって大人が思っている以上に時間もかかるし、本当に難しいんですよね。
なので、この「書く」というのが大きな問題となりますし、難関な部分だと思います。これは指導する先生たちも大変だと思います。
そして、この「単語を書く」反復練習の時間を確保するのが難しいかもしれないですよね。
また、中学の学習ではこの小学校で学んだ単語をどの位覚えていることを期待して授業が行われるのでしょうか。6割方の単語を覚えていることを期待しているのなら、この量はかなり多いと思います。
6.小学校英語必修化!どうやって授業時間を確保の方法について
結構ボリュームがあるんだね。どこで時間をとるのかが疑問だね。どのように時間を確保するのかについて教えてほしいな。
いろいろな方法で時間を確保しようと考えてるみたいよ。
ちょっと苦しい部分もあるかもっていうのが正直な感想ですね。
今でも十分に忙しい小学生のスケジュール。地域によっては夏休みも短くなったとこもありますよね。そのくらい授業数確保が難しいのでしょう。
そこで、文部科学省はモジュールタイムという15分の枠を1時間目と5時間目の前に設けて、そこで英語の時間を確保するように考えているようです。
反復練習を行うのに使うのがいいとあるけど、15分ってまるまるできたとして、15分できるのかが疑問です。
何をするのか説明するのに5分かかると考えて、うまくいけば5~10分の活動をするってことになりますよね。
また、お昼休憩の後ってそんなに時間通りに授業が始められるものなのかなっていうのも疑問ですね。教室に戻ってくるまでに時間がかかるのでは・・・?
時間が十分に確保できない状況でこれだけのことを教えたら、きっと取り残されていく子が多くでてくるのではないのか少し不安になりますよね。
7.小学校英語必修化!先生ごとで英語クラスのレベルが変わるのかについて
担任の先生が教えるってことはクラスによってレベルが変化するっていうことだよね。
そうだね。それは否定できないよね。
英語クラスを担当するのが担任の先生というのも不安になる要素ですよね。今まで英語を教えたことがない人が教えれるのってなりますよね。
基本的な文部科学省の考え方はこんな感じです。
中学年では、主に学級担任が、外国語指導助手(ALT)や英語が堪能な外部人材とのティーム・ティーチングも活用しながら指導し、
高学年では、学級担任が英語の指導力に関する専門性を高めて指導する。あわせて、専科指導を行う教員を活用することにより、専門性を一層重視した指導体制を構築する必要がある
文部科学省 グローバル化に対応した英語教育改革の五つの提言 より
つまり、基本は学級担任が行っていくころになりますよね。
なので、様々な研修が行われたり、地域によっては中学校の英語教諭が小学校に期間限定で行ったりしてるとこもあるみたいですよ。
また、文部科学省は研修を行うよう呼び掛けたり、英語教育推進リーダーという役職を設けて、英語学習計画を立てたりしています。
ただ、やはり基本は担任教諭になりそうなのでクラスや地域によって差がうまれてきそうですよね。
これに関しては他の教科でも同じような気がしますが・・・他の教科でも担任によって授業の良さが違うようにわたしは感じているので、その部分は同じかなって思ったりもします。
なので、これは英語という教科に限ってのことではないかもしれませんね。
8.小学校英語必修化!お家でできる対策について
なんかこれだけ聞いてると時間が足りなさそうな感じだね。
何か家でできる対策とかあれば、教えてほしいな。
そうだね。そして、きっと1番大変なのが、5年生から始まる単語を書くということ。
ここの対策をお家でしてあげると、取り残されていく事は少なくなると思うよ。
お家で書く練習を取り入れたいときに、先にきちんと教えておきたいのがフォニックス学習になります。
フォニックスを知っていると、音とスペリングの関係がわかるので、単語を覚えやすくなるんですよ。
全部覚えるまでに時間もかかるので、そんな時間はかけてられないよって言われるかもしれませんが、「急がば回れ」です。
ぜひ取り入れてみてください。
実際ヘボン式のローマ字の書き方を知っているだけでも、少しは覚えやすくなります。でも、それだと例外も多いのでお勧めしませんよ。
音と単語の関係の学習をしようと考えているのなら、絶対にフォニックス学習がお勧めです。
フォニックスは覚えて損はありません!!
あとは漢字を覚えるのと同じで、英単語を書けるようになるには何度も書く反復練習が必要になってきます。
お家で勉強するのなら、通信教育などの教育素材を利用するのもいいと思います。
また、最近では楽しい英語アプリなんかもあったりするのでそれを活用してみるものいいと思いますよ。
お家でも対策をして、お子さんが学習でつまづかないように手を添えてあげましょう。
始めるタイミングは早い方がいいですが、いつが始まりでも「遅すぎる」という事はありません。
始めてみようと思った瞬間に是非始めてみましょう!
9.小学校英語必修化!英会話教室には通わせたほうがいいのかについて
じゃあ、やっぱり英会話って通わせた方がいいのかについて教えてほしいな。
通ったらいいと思うけど、必須ではないと思うよ。
お家でできることもあるし、時間とお金に余裕があったら通わせてみることを考えてもいいんじゃないかな?
英会話教室に通うのは、幼児クラスや低学年クラスは比較的早い時間に設定しあるところが多いので、仕事があって送迎の時間に間に合わない方もいると思うので送迎の時間があって、金銭的にも余裕があったらでいいのかなって思います。
もちろん、通えばお子さんはもっと英語に触れる機会が増えますし、楽しいゲーム等を通じて英語を好きになる事でしょう。
また、送迎の時間に間に合わないけど英会話には通わせたいって方はオンライン英会話もあるので、そちらを検討してみてもいいかもしれませんね。
そっちだと送迎がない分、忙しい親御さんの負担が少し減りますよ。
最後に、本人が通いたくないと言っているのに無理に通わせるのは逆効果なのでやめておいた方が無難です。
その場合はまず通いたいという思いにさせる事が大切です。
「通ってみたい」って思わせるようにするのが、親の腕の見せ所!お子さんの一番の応援団である親御さんの役目かなって私は思います。